それから二人はただ平凡な毎日を繰り返してきた。詩音はというと、やはり病の人などを治していた。その頃には紫色の意味も理解していた。

そして中学校の卒業式の日。学校の体育館で

「~であるからにして、皆さんの新しい門出を...。」

と校長の長い祝辞に詩音は欠伸をして聞いていた。うつらうつらし始めた時に周りが紫いろに変化し、次々と生徒達が何か分からないものに苦しみ始めた。詩音はハッとして起き、

「色彩変位、オールグリーン!」

と人々の異変を治した。よく目を凝らすと体育館の非常口の所がどす黒く真っ赤な色をしているのが分かった。

「亜斗、動ける?あそこを調べて!」

「わかった!」

そういって亜斗はその場所に向かった。詩音はまだ完全に治っていない人の治療を行っていた。

「クソ!逃げられた!体育館の屋上まで行ったんだが、どうやって逃げたんだ?詩音は大丈夫か?」

「私は平気。取り合えずこの場の人全員を治して解散してお堂に戻ろう。」

「わかった。お堂の詩依ばあちゃんに伝えてくる!」

と亜斗は先にお堂に向かった。詩音は先生方に事情を話し、生徒を帰宅させるように助言した。

詩音もお堂に戻り、詩依ばあちゃんの所に行った。すると詩依ばあちゃんが

「おやおや、そんなことがあったんだね。いつかは来ると思ってたよ。」

「ばあちゃん、何か知ってたの?」

「...。あまりに酷な運命だろうからさ、黙っておいたんだが、あちらさんが動いてきたなら話さねばなるまい。色を操る者がいるのさ。色を操って権力を操る。そういう者さ。普段はこの日本の政治をただ動かしているに過ぎないんだが、同じく色を操る詩音に脅威を感じたんじゃろ。」

「でも普段の政治家たちが行っていることに変なことはないよ?増税は多いけど...。」

と詩音が言った。すると詩依ばあちゃんが

「あやつももう年でな。お前に権力を奪われると思ったんじゃろ。だから探りを入れて来たんじゃ。恐らくこんどは詩音の命を狙ってくるはずじゃ。だからこれを持っていけ。」

と詩依ばあちゃんは二つの刀を出した。刃は透明で水晶みたいな感じな刀であった。

「これは共鳴刀じゃ。自分の波動を乗せて相手に切りつけることができる。それに二本が同時に共鳴する時は威力が何倍にもなる。また、敵が近くにいるとそれを知らせる色にもなる。優れモノじゃろ?代々、観音堂に祀られてきた代物じゃ。ちなみに一度敵を倒すと折れる。折れたらなおるまで少々時間がかかるがの。」

「これから私たちはどうしたらいいの、おばあちゃん?」

「取り合えず京都に行ってごらん?共鳴刀に詳しい者がおるはずじゃ。」

「亜斗も来てくれる?」

「ああ、かまわない。」

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