「あー!よかった!お母さんはただの風邪だった!詩音、今俺のお母さん何色に見える?」

「んー。まだ若干紫かな?」

「じゃあ、緑に変えてくれない?」

「いいよ。わかった。色彩変位みどり!」

「よし!これで大丈夫だな!詩音、また遊びに行こう!」

「こら!亜斗!詩音ちゃんが良くしてくださったんだから、お礼を言ってお堂の掃除をしてきなさい!」

と亜斗のお母さんが言った。

「ちぇっ。わかったよ。でも詩音、本当にありがとう!」

「どういたしまして。」

詩音は何がどうなっているのか深く考えていなかった。それがいつもの日常であったからである。

詩音はその出で立ちから学校なんかで周りから恐れられるのではないかと思われるが、その詩音の能力のことで大人たちから崇められていたため、周りからいじめられることはなかった。そしてまた、女友達が少ないわけでもなかった。しかしもっぱら遊び相手は亜斗であった。亜斗は幼馴染ではあるが、その恋愛のどうのこうのというものではなかった。

それから時がたち、15歳の詩音の誕生日にお堂で立志の祭りが開かれた。詩音はそこで儀式の舞を披露した。お堂の檀上で周りには燃え盛る焚き木。ほとばしる汗にまみれながら詩音は舞を舞った。その美しき長い白髪と輝く緑の目。15歳とは思えないエロティシズムな姿。正に妖艶。観衆は皆、詩音の舞に釘付けであった。亜斗は

「綺麗だ...。」

と思わずため息をついた。

儀式が終わり、大人たちは酒を酌み交わして大いに盛り上がっていた。

「いやぁ、あの詩音ちゃんがこんなに立派になるなんてな!」

「そうそう!もともと可愛かったけど、えらくべっぴんさんになって!」

「どうだ?亜斗、いつも詩音ちゃんと一緒にいるけどお前はボーイフレンドにはならないのか?」

「そ、そんなんじゃねーよ。大人は酒飲むとこうなるんだから。全く。」

と亜斗が言った。

「どれ、亜斗、一杯やらねえか?今日は特別だ!」

「わ、わかった。」

ぐいっと日本酒をマス一杯飲み干した。少し顔が赤くなりよろめいた。なんとなく詩音の姿に酔ってしまった自分の照れを隠すかのように酒を飲むことを試してみた。

「よ!色男!もう一杯いくか?」

「もういい。風に当たってくる。」

亜斗はお堂の外に出て風に当たっていた。すると詩音が近づいてきた。

「どうだった?私の舞。ちゃんと踊れてたかな?ん?赤いよ?」

「え?俺は怒ってねーよ?」

「顔が赤いってこと。」

「ああ、大人たちに酒を飲まされてね。ああ、ちゃんと踊れていたよ。」

「あれ?ますます赤くなったよ?w」

「うるせー!」

「変なのw」

しばらくゆっくりと月明りの下で座り込んで二人とも体を冷ましていた。 

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