「ふぅ。なんとか月についたみたいね。」と詩音

「あれは地球?」と亜斗

月から見る地球はよく科学雑誌なんかであるような綺麗な青色をしたものだった。

「はやく夢堂の闇を見つけないと!」と詩音

「キーーーーーーーーーーーーーーーー!」

とガラスを引っかくような嫌な音がした。

「きゃ!何よ!」と詩音

「うわ!頭が!」と亜斗

「・・・聞こえるか?詩音・・・」

「詩依おばあちゃん?」と詩音

「・・・月はほぼ真空ゆえに・・・敵の色は・・・見えん・・・だから・・・魂と・・・共鳴して・・・姿を・・・写せ・・・」

「魂と共鳴か。やるしかないね。」

と詩音が胸に手を当て闇の姿を心に浮かべた。すると赤黒く燃える目と口だけが穴が開いた炎が目に映った。

「見えた!亜斗もやってみて!」と詩音

「わかった!」と亜斗

「ん?んんん?これか?ハッ!見えた!」と亜斗

「でもどうやって攻撃すればいいんだろう?実体のない炎だし、音が通じないから遠くから色彩変位もできないし。詩依おばあちゃんは攻撃を当てるときに音を当てろと言っていたし。」と詩音

「深く考えるなって。俺が行く!」と亜斗

こういう時、何故だか亜斗が頼もしい。

「行くぞ!うわっ!あちち!」と亜斗

闇が赤黒い炎を放ったのだった。

「大丈夫?亜斗!」と詩音

「ああ、大丈夫だ。インパクトする瞬間にゼリーを切るぐらいには感覚があったぜ!」と亜斗

「じゃあ、私も行くわ!そりゃ!」と詩音

「キーーーーーーーーーーーーーーーー!」

「きゃあ!」と詩音

「大丈夫か?詩音!」と亜斗

「大丈夫。でもゼリーよりも固くなってる気がする。」と詩音

「そうか。このまま攻撃を続ければまともな攻撃が効くのかも。」と亜斗

闇が二人に向かって炎を吹いてきた。

「うわぁぁぁぁぁぁぁ!」と詩音と亜斗

「このままダメージを受けると多分私たちの魂も無くなるんじゃない?」と詩音

「・・・そうじゃ・・お前らの魂も・・燃え尽きる・・」と詩依

「じゃあ、こうしよう!俺の斬馬刀は盾にもなる。だから俺が闇の気を引いているうちに詩音が攻撃をして!」と亜斗

「わかった。」と詩音

「ほらほら、おーにさんこっちだ!」

と亜斗が闇の気を引いた。すると闇は凄まじい炎を吹いた。それを亜斗は斬馬刀で防いだ。

「おー、あっちぃ。詩音、今のうちに攻撃をして!」と亜斗

「了解!おりゃ!」

初めはゼリー状だった闇もどんどん固くなっていった。

「固い!全然攻撃が効いている気がしない!」と詩音

「詩音!下がって!俺の斬馬刀があいつの炎と十分に共鳴しているはず!俺が行く!」と亜斗

「うりゃ!」

と亜斗が闇に切りかかった。闇にひびが入ったが、すぐに修復した。

「クソ!これでもダメか!」と亜斗

「そうだ!逆位相だ!亜斗、斬馬刀を貸して!逆位相に変位して攻撃をするわ!」と詩音

「OK!それなら詩音におまかせだね!俺が引き付ける!おーい、こっちだよーん!」

その隙に詩音が闇に切りかかった。

『ジャキーン!』といって闇の一部が切り取られた。

「いける!いけるぞ詩音!」と亜斗

「もっと攻めてみる!」と詩音

大きな闇に対して何度も切りかかった。その都度、闇の一部は切り取られていった。その時

「きゃぁぁぁぁぁぁ!」

と詩音がもろに炎の攻撃を受けてしまった。

「大丈夫か?詩音!おい、詩音!返事をしろ!」

亜斗が慌てて声をかけるが詩音からの返事はない。気絶しているのか死んでいるのか分からないがすかさず闇は炎で攻撃を仕掛けてきた。それを斬馬刀で亜斗が防いだ。

「くそったれがーーーーー!」

と亜斗が叫ぶと斬馬刀は鮮やかな青色に輝きだした。そしてもう一つの詩音の共鳴刀をも手にした。亜斗の斬馬刀は両手で持たないと扱えないぐらい重さだったが、この時の亜斗は軽々と右手で斬馬刀を持ち、左手に詩音の共鳴刀を持った。

ズサッっと闇の真正面に飛び込み、口に詩音の共鳴刀を差し込んで、上から物凄いスピードで下まで切り込んでいった。

すると闇の体内から緑色に光る植物のような双葉がでてきた。それを亜斗が滅しようとすると、

「待って!亜斗!」

と詩音が起き上がって叫んだ。ハッとして亜斗が我に返り剣を止めた。

「それは地球に持ち帰らなければいけない気がする。」

と詩音が言った。

「なんでだよ!なんでだよーーーーーーーーー!」

興奮冷めやらぬ亜斗は叫んだ。

「これはきっと新しい希望。闇の根底にある私たちの希望だと思うの。だから、一緒に帰ろう?」

「ううう...。詩音が生きててよかった。俺はそれだけでよかった...。」

「それじゃあ、帰ろう?ね?」

「うん。」

そうして二人は手を取り合ってスッと自分たちの帰る場所へと向かった。

「ん?ここ、どこ?」と詩音

気付いたらベッドの上だった。

「あ、亜斗は?」

「俺ならここだよ。」

と亜斗は同じ部屋のソファーの上でくつろいでいた。

「私たちどうなったの?」と詩音

「どうやら闇に勝ったみたいだね。」と亜斗

『コンコン』

とノックの音がした。

「はい」と答えると

「詩音様、お体は大丈夫ですか?」

と九条が来ていた。

「あ、九条さん、来ていたんだ。ここはどこなんです?」と詩音

「本来あるべきの夢堂の屋敷です。」と九条

「そう言えば、夢堂はどうなったの?」と詩音

「夢堂は裁かれるべき人間であるのですが、その政治手腕は買われるものがあります。ですので、監視付きで政界に戻るらしいです。あぁ、それと詩音様たちが持ち帰った緑の双葉。あれが闇を浄化する作用があるようです。ですからこれまであったようなことはもう起きないのではないかと言われています。」

と九条が色々と説明をしてくれた。

「そうなんだ。宇都宮さんや墨田さんたちは?」と詩音

「今は熊野皇大神社の鐘を勝手に鳴らしたことをこっぴどく怒られています。」と九条

「でももう闇がいなくなったら宇都宮さんや墨田さんの出番がなくなるんじゃないの?」と詩音

「いえいえ、人間の欲ある限り、弱い闇などは世界各国どこでも現れます。ですのでサウンドハンターたちはいつでもその需要があります。」と九条

「それでこれから私たちは?」

と詩音が言ったら、食い気味に

「高校1年生を留年でやり直しだとさ。」と亜斗

「えーーーーー!あれだけ頑張ったのになんにもリターンないの?」と詩音

「観音堂の詩音様がリターンなどを求めてはなりませんよ。そのかわり留年までの残りの期間はクルーズ船での豪華旅行を企画しています。」と九条

「え?マジ?」と亜斗

「やったー!」と詩音

「取り合えず、調子が戻ったら観音堂に戻りましょう。」と九条

そして宇都宮や墨田に挨拶をしてきた。

「詩音ちゃん、変な男に引っかかるなよ?いい男は割と近くにいるもんだよ?」と宇都宮

「ん?どういうこと?」

と案外鈍い詩音であった。

「全くお前は黙ってろ!でもお世話になりました!」と亜斗

「墨田さんもお世話になりました!」と詩音と亜斗

「本当に詩音様には救われました。あと、亜斗も特に闇と戦った亜斗の話は凄かったらしいな!お前やるじゃねぇか!」

「ははは!それほどでも」と亜斗

「まぁ、これから二人も色々と面倒なことがあるかもわからんが、これだけの経験しているから大丈夫だろう!頑張んな!」

「ありがとうございます!」と詩音と亜斗

そうして詩音と亜斗は観音堂に帰っていった。その後二人がどうなったかって?それは私にもわからんよw

fin

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