それから山本の家まで帰り、夕食の用意をしだした。
「あ、土曜日の夜は私、用事があるから晩御飯作り置きしておくね。」
と桜井が急に思い出して言った。
「ああ、それは別に構わないですよ。それに料理も作らなくても大丈夫ですよ。」
「それはダメだわ。私と付き合わないための条件なんだから。」
「分かりました…。」
桜井は山本に対していささか強引である。それは相手を見下しているとかそういうのではない。所謂、重い愛情なのだ。母性本能丸出しで山本に接しているのだ。
「じゃあ、私は食材買いに行ってくるから少し待っててね。」
「それなら私も行きます。」
「私達が仲睦まじく買い物をしてて私の同僚が見つけたら少しめんどくさいから、大悟さんは家にいてください。」
「分かりました…。」
その時山本は何も疑ったり変に思ったりはしなかった。前科者と警官が付き合っていると面倒なんだろうな、と思うぐらいだけであった。
そして桜井が買い物をしていると
「あ、桜井さん、こんばんは。なんだか大量に食材買い込んでますね。もしかして早川さんの?」
と同僚の中塚とばったり会った。やっぱり山本を置いてきて正解だった。
「いや、そうじゃないよ。早川さんとは土曜日の夜に食事に行くことになってるから。」
と桜井が返すと
「やっぱり早川さんとはお似合いですね。みんながそう言ってるのが分かる。じゃあ頑張ってね!」
と中塚が去っていった。少し冷や汗をかく桜井だった。
しかし桜井は決して男をかどわかしているわけではない。ただ、早川の愛情は眩しすぎるのである。その中では桜井自身の光が消し去って自分が分からなくなるからだ。一方、闇を抱える山本では自分の光を照らして足元を明るくし、行く末を導く標となれるからである。居心地が良いのは山本なのである。恋愛において居心地の良さというのは重要なポイントである。
買い物を終え、山本の家に戻る。ちなみに水島商店街ではまともに駐車場はないからコインパーキングを利用している。車が不用意に見つからないためにあまり目立たない所へ置くように心がけてはいる。
「ただいま~。さて夕食を作るね。」
「ありがとう。その私に似ている日奈子さんのお父さんってどんな人だったの?」
「そうね…。とにかく不器用な人だったわ。愛情があるのは分かるんだけど、私、子供に接する感じがとても下手くそなの。なんていうのかしら?コミュニケーションがうまく取れない人だったわ。母もそんな人を好きになるなんて不思議ねって思ってたけど、そんな哀愁が漂う男ってなんだか放っておけなかったらしいのよ。ある意味の女たらしね。そんな部分が大悟さんに似てて、私も母みたいに大悟さんを放っておけなかったのだと思う。恋愛は惚れた方が負けね。ふふふ。」
と桜井はなんだか少し嬉しそうに語って笑った。
「さぁ、て今夜は飲むよ!お酒いっぱい買ってきたんだから!」
「え?日奈子さん、運転どうするの?」
「そんなの大悟さんの家に泊まるに決まってるじゃない。」
「ええ?こんな狭い所に?」
「こんなにいい女を抱けない男なんて。絶対いつか犯したくなるようにさせてやる!」
「怖いなぁ、日奈子さんは。」
そんなこんなで夕飯とお酒で盛り上がる二人であった。だけどプラトニックな二人。それでも二人を繋ぎとめておける何かがあるのだろう。それは赤い糸というものなのだろうか?

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