サマーオーシャンから出立した一同はオータムフォレストに差し掛かってきた。辺りは橙色や赤色に染まった木々が増えてきて、涼しい気候となってきた。周りには色んな木の実が落ちていた。

「わー!木の実がたくさんある!俺にとってここは天国だね!」

とフロギーが言った。

「僕たちには少し食べ応えのない草ばかりだよね、ホッパー。」

とラヴィが言い、ホッパーが

「そうですね。もうちょっと青々とした草が食べたいですね。」

と返した。

「しかし精霊なんてどこにいるんだろ?普通に見えるもんなんだろうか?」

とフロギーが言った。

「確かにどうすれば出てくるのかはわかりませんね。」

とホッパーが続いた。

「とりあえずこの辺を探してみましょうよ。」

とラヴィ。

しばらくオータムフォレスト内を歩いていたが、広いし迷う。サマーオーシャンとはまた違う迷い方だ。目印となるものがほとんど似通っていて目印にならないことだ。そうしているうちに辺りが暗くなってきた。

「とりあえず今日はこれぐらいにして休もうか。この辺の落ち葉は暖かそうだからこれを着るといいや。」

とフロギーが言った。

「そうですね。もう足がへとへとですよ。休みましょう。」

とホッパー。

「もし寒いなら私の体を使ってくれてもいいよ。私の体は暖かいから。」

とラヴィが言った。

「じゃあお言葉に甘えさせてもらいます。」

フロギーとホッパーがラヴィの傍らで寝ることにした。

「シャンシャンシャン...ウフフフフフ...」

寝ている間にそんな音がしてフロギーが目を覚ました。

「なんだ一体?」

寝ぼけまなこをこすりながら辺りを見渡すと白く光るものがフワフワと浮いていた。

「あなたたちは森に迷い込んだようね。この森に何か用かしら?」

「あなたはもしかして精霊ですか?」

とフロギーが恐る恐る聞いた。

「そう。私たちはこの森の精霊。あなたたちは何を望んでるの?それともこの森を壊しにきたの?」

「壊しにくるなんて滅相もない。」

「もし壊しにくるならあなたたちは一生この森から出られなくするわ。」

「いえいえ、私たちは月への行き方を知りたくてここに来たのです。精霊さんたちなら何か知っているのかと思いまして。」

「ええ、月への行き方ならありますよ。でもそれを教える条件の代わりにこの森の暴君、ボーネッドを退治してもらうわ。」

「ボーネッド?」

「ええ。スズメバチ集団の隊長。こいつが私たち精霊のイモータルエッセンスを飲んで厄介なの。私たちは力においては非力だからあなたたちで倒してくれないかしら?そうしたら月への行き方を教えるわ。」

「スズメバチか。強敵だな。ちょっと仲間と相談するよ。」

「それじゃあこの森の地図と示し花をあげましょう。示し花は道を案内してくれるわ。」

「わかりました。」

「それじゃあ、また深い眠りに...。」

ふっとフロギーの意識が遠のき眠りへと落ちた。

翌朝。

「おい、フロギー!」

「フロギーさん!」

ラヴィとホッパーの声でフロギーが目を覚ました。

昨夜の出来事が夢かと思ったが、そばに地図と示し花があった。だから一連の話をホッパーとラヴィに話した。

「なるほど。そういうことがあったんですね。それはまさしく精霊と会話をしたのでしょう。それにこの地図と花。精霊の話じゃそのボーネッドというスズメバチを倒したら月への行き方を教えてくださるんですね?」

とホッパー言った。

「そういうことらしい。だが、スズメバチとなるとそう簡単に倒せるかどうかだ。」

とフロギーが答えた。

「私のような小さい草食動物じゃ逃げ回るしかないからな。」

とラヴィが呟いた。

「じゃあ、ひとまずボーネッドたちの行動を調べよう。」

と一同は地図と示し花を頼りにボーネッドたちがいる付近まで行った。

「お、あれがスズメバチ集団か。おっかねー!」

とフロギーが言った。

「確かにあの集団を相手にするのは難しいよ。」

とラヴィ。

「僕なんかエサにされますよ...。」

「もうちょっと探ろう。」

一同はまだ観察を続けた。

「ん?どうやら水を飲んでるようだ。他の蜂たちは帰っていってる。体がでかいから水分の補給も時間がかかるようだな。この時がチャンスだな。」

とフロギーが言った。

「私に提案があります。この水飲み場に罠を仕掛けます。罠と言ってもラヴィが木をかじって倒れやすくして、頃合いを見計らって木を倒すんです。そうしたら一発でアウトです!」

とホッパーが提案した。

「なるほど。それはいいかもな。夜のうちに私が木をかじっておこう。」

とラヴィ。

「じゃあ明日が決戦の日だ!」

一同、気合を入れて入念に計画を練った。

翌日。水飲み場でボーネッドを待ち伏せしていた。案の定ボーネッド一人になった。そこでラヴィが木を倒した。

「ゴゴゴゴゴゴ!」

と木は倒れてボーネッドを押しつぶそうとした。しかしボーネッドは瞬時に気づき、それをかわした。

「おーー!あっぶねー!なんで木が?ってお前らの仕業か!」

とボーネッドがこちらに気づきラヴィに襲い掛かった。

「ラヴィ、後ろ足で砂をかけろ!」

とブロギーが叫んだ。そしてラヴィがボーネッドに砂をかけた。かかさずホッパーにブロギーが

「木の実を蹴ってボーネッドに当てて!」

と言い、ホッパーはボーネッドに木の実をあてた。そうするとボーネッドはよろめいて地面に落ちてきた。その瞬間にブロギーが

「そりゃ!」

と長い舌を出して、パクっとボーネッドを食べてしまった。

「ブロギー、大丈夫?」

とホッパーとラヴィが言った。

「胃が焼けるように痛いけど、こいつを俺が消化しきったらもう問題はないさ。他の集団が来る前に逃げよう。」

3人はその場を急いで逃げた。ボーネッドのフェロモンもブロギーの胃の中からでは発生されないから追手は来なかったようだ。

「はぁ、はぁ、はぁ。もう大丈夫だろう。」

とラヴィ。

「ところでどうやって精霊を見つければいいんです?」

とホッパーが問いかけた。

「う~ん。そうだな。示し花を使ってみるか。」

とブロギーが花を取り出した。そうすると花が宙に浮かびピカっと光と精霊が現れた。

「どうも皆さんありがとうございました。ボーネッドを退治して頂けたようですね。月に行ける妙薬を授けます。」

と精霊が言い、小瓶を取り出した。

「これは月の雫と呼ばれるものです。これを飲むと精霊になり月へと行けることができます。」

「へー!そうなんですか!精霊になった後はどうなるんですか?」

とブロギーが問いかけた。

「精霊になったらもう元には戻れません。精霊として生きていきます。」

「え?マジか...。みんなどう思う?」

とフロギー。

「精霊になったら色んな嫌なことから逃げられるかもしれないけど、今の自分じゃなくなるのがちょっと怖いな...。」

とラヴィ。

「僕も今の自分が自分じゃなくなるのが怖いです...。」

とホッパー。

「精霊かぁ。憧れるけどなぁ。元に戻れないんならな...。」

とフロギー。

「どうするかはあなたたちが決めてください。月の雫は渡しておきます。」

「ありがとうございます。他に月に行ける方法はありませんか?」

とフロギーが精霊に聞いた。

「一応あるにはあるのですが、少々、酷かもしれませんね。北のウィンターウィスプに行ってみてください。そこであなたたちが体験してきてください。」

と精霊が言った。また続けて

「この先は寒さが一段とキツイです。特にカエルさんとバッタさんには。ですのでミノムシの衣を着ていって下さい。」

「ありがとうございます。少しだけここでゆっくりしてから進みます。」

そうブロギーが言って、木の実や草などを沢山食べて、集めて行く事にした。

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